2月半ば、9年振りにインドに旅に出た。
この旅の大きな目的は二つあった。
一つはインドの北東部、ビハール州スジャータ村で開催された小学校でのアートフェスティバルで木を植えること。そしてもう一つは、ガ ンジス河で沐浴をすること。
世界放浪の一人旅をしている最中の2003年初旬、ぼくは南アフリカで地球を歩き、平和の木を植え続ける男、ポール・コールマン氏に 出逢い、その生き様に衝撃を受けてアフリカの大地を1年間共に歩き、木を植えた。
気が付けば「地球を歩く、木を植える」ことは今では僕自身のライフワークになっている。
そして今回、アフリカ以来初めて、日本以外の土地で木を植えた。
植えた場所はインド北東部にあるゴンガリア村という電気も通っていない、土壁に萱を積んだ屋根のシンプルな家しかない小さな村。
そこは物質的には何もないけど、村のみんなが寄り添って暮らす「あったかさ」があった。その村に滞在したのはほんの数時間だったけ ど、懐かしいような、うらやましいような、去り難い気持ち、なんだか後ろ髪を引かれる様な気持ちになった。
あの村に住んでみたいかというと、yesではないけど、Noでもない。あの乾いた大地に木や野菜の種をたくさん撒いてみたい。あ そこに住んで、乾いた大地に緑が広がって行く様子を体感してみたい。
木を植えたい場所、種を撒きたい場所は地球上にたっくさんあるんだってことを感じさせてもらう貴重な体験になった。
飛行機、車を乗り継いで今度はインド北西部、ガンジス河の上流へ。余談だけど、9年前は移動は全てバスか電車。しかも搭乗率は常に 200%、パンパンだったけど、今は国内線の飛行機があちこちを飛んでくれているお陰で、昔だったら1週間はかかる距離を わずか数日で移動出来る。久々のインド、あまりにも何も変わっていなくて驚いたけど、国内線の飛行機が充実したことは旅人にとっては 相当にデカイ、そしてとても有難い変化だ。
ガンジス河上流、ヒンズー教の聖地ハリドワールへ。2010年1月~4月、この場所で「クンバメラ」という聖なる沐浴の祭りが開催さ れている。これは世界最大のギャザリングと言われ、2001年、ガンジス河の下流で開催されたクンバメラには実に7千万人が集まっ た。僕はこの2001年のクンバメラを目指して、人生初のインド旅に向かった。あれから9年が経ち、再びクンバメラを目指すチャンス をもらった。
ハリドワールの街は思いの他静かだった。ヒンズー教徒は新月や満月を特に聖なる沐浴日としている。僕達がハリドワールを訪ねた時は丁 度その合間で、嵐の前の静けさの様な雰囲気があった。
友人達とガンジス河で沐浴をする。ヒマラヤ山脈から流れ出た雪解け水はとびきり冷たい。調子にのって長い間河に浸かっていたら、体 が芯の芯まで冷え込んだ。聖なるガンジス河の洗礼を受けた。
その後僕は、ガンジス河の更なる上流を目指した。ビートルズが修行をしたお寺があるリシュケシュ。そこからバイクを借りて、ガンジス 河の源流へ。ガンジス河最上流の村、ガンゴトリは冬季閉鎖中で、数名の修行僧と国境警察のみが滞在していた。
許可がないとそこから先には入れないと言われた。やむなく、引き返すことに。夏の間はガンゴトリから20kmほど山道を歩くと氷河に 辿り着き、そこがまさに悠久のガンジス河の源流だ。何時の日か氷河まで歩くことを心に誓い、引き返すことに。その前にガン ジス河の最上流部で沐浴をした。
もちろん、飛び上がる程の冷たい水だったけど、爽快だった。帰り道は雪がちらついてた。
帰り道、岩穴に一人ひっそりと住む修行僧に出逢った。お茶をご馳走になったお礼に何か手土産を渡そうとしたら断られた。自分は物質社 会の人間だと思い知らされた。
それにしてもガンジス河上流部の景色の雄大さには息を呑んだ。
33日間のインドの旅。デッカイ地球を肌で感じる旅。この旅を支えてくれた家族と仲間に感謝。やっぱり人生は旅だ。